私は雑兵

社内ニートが何者かになりたいブログ

【その他】ホームパーティに呼ばれたらマルチ商法だった話

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前に派遣社員をしていたとき、とあるきっかけで女性と仲良くなった。


彼女と私は年齢が一回り離れており、向こうは既婚、こちらは独身。

彼女には旦那も子供ももおり、作業場へは日銭を稼ぐためにやってきていた。

 

なにがきっかけで仲良くなったのかまるで思い出せない。

しかし、気が付けば休憩を一緒に取るようになり、最終的には「今度、友人の家で花火大会があるから一緒にいこう!」とホームパーティに誘われた。

 

当時、とりたてて予定もなかったので「いいっすよ」と無計画についていくことにした。

 

これが、勧誘の始まりであるとは知らずに。

 

今日は同じ手口に引っかからないように物語形式で手口を記載し、ちょっとした考察を行う。

 

【目次】

 

第一章 謎のドリンク

さて、花火大会の当日にになった。

彼女の家は私の家から数駅しか離れておらず、私の出身高校の近くであるということが判明。

お土産もろくに持たずプラプラと歩き進め、教えてもらった一軒家にたどり着いた。

 

おうちは新築だ。

中からは気さくな旦那さん、小さくてかわいい娘さんが二人ほど顔をだし、私はその家族に囲まれたまま車に乗り込んだ。

 

「これ、よかったら飲みなよ」

 

気さくに話しかけてくれる旦那さんから、私は飲み物を受け取った。

 

はて?

見たことのないエナジードリンクだな?

というか、私カフェイン苦手だな?大丈夫かな?

 

そうは思ったがいただいたものを粗末にするわけにもいかず、ぐいっと一口。

 

「変わった味ですね。それに缶も見たことないんですけど?」

 

私がそういうと、旦那さんは嬉しそうに声を張り上げた。

 

「いや、それすごいいい商品なんだよ!よかったら持って帰る?うちにいくつもあるから!」

 

え?エナジードリンクでそこまで語る?と思いつつ、笑って話を流した。


思い返せば、この時点でやばかったのかもしれない。

 

第二章 夢を語られる

さて、無事に友人のおうちにつくことができた。

ご友人の家はタワーマンションのほぼ最上階。家族向けの間取りのようだ。

 

居間には様々な料理が並んでいる。

いわゆるインスタ映えする料理が並んでおり、水にはレモンの輪切りが入れてあった。

 

ふっと、私は壁を見る。壁には子供たちの予定が書かれてあってほほえましい。

しかし、それ以外にも謎の掲示がしてあることにそこで気が付いた。

 

『一千万円 … 50%ボーナス!目指せ!』

 

……旦那さんの仕事の関係かな!?

すでにこれはやばいと思いながらも、なんとか自分をいいくるめ、ホームパーティは開始された。

 

おいしい料理、アットホームな雰囲気。

個人的に苦手な言葉は『アットホーム』『ホームパーティ』『インスタ映え』なのでその三重苦を身に浴びながら張り付いた笑顔を振りまいていたと思う。

 

ちなみにこの時も『知らない人と4時間程度盛り上がることができるスキル』が発揮された。

 

さて、会も中盤。

旦那さんもお酒が入りテーマは『AIが支配する未来の仕事』になっていた。


一応、IT系にいた私は黙って旦那さんの話を聞いてみることにした。

 

「いい?これから先AIが発達し、人間の仕事は奪われるわけよ」
→理解できる

 

「で、その中で奪われない仕事を探すのって難しいわけさ」
→個人的に日本人はアナログ好きだから数十年かかりそうと思ってる

 

「だから、不労所得に行きつくわけよね?」
???

 

もはや何を言っているのかわからない。

そこから旦那さんは不労所得の良さやそこに至るプロセスを話し始めた。

 

結局、その日はお開きになった。

帰り際、旦那さんは私と固い握手を交わしたがった。

そして交わした。

 

私は宗教のような気持ち悪さを抱えつつ、静かに実家へと帰って行った。

 

第三章 ホットプレート

ここまで読んだ人で勘のいいひとであれば気づくかもしれない。


そう、このホームパーティには続きがあるのだ。

 

そこから数週間後、私は再び女性に呼び出された。

 

「家でケーキ作るから、食べにおいで!」

 

さすがに手ぶらでは行けないと、今度はお土産片手にフラフラおうちまで遊びに行った。

 

(この間の気持ち悪さは気のせいさ!)

 

と阿呆丸出しでおうちにあげられ、すぐさまケーキの作成に取り掛かられた。

 

使うのはホットプレート。それも見たことのないメーカーのものだ。

当然のようにいる旦那さんはそのホットプレートを指さしながらその凄さを語ってくれた。


なんでも、通常のホットプレートとは違うらしく、電磁波が周囲に飛ばないようだ。

そして、私は(そんなこともあるんやなぁ)と思いながら出来上がったケーキを食べる。うまい。

 

「で、ここからが本題なんだけど」

 

旦那さんはヒートアップしたまま、まるでウォーミングアップを終えた選手のように冊子を取り出した。顔がイキイキしている。

 

「××って知ってる?」

 

知らなかった。

が、帰宅時に検索するとかなり有名なマルチ商法の会社らしい。

 

私は知りません、というと旦那さんは嬉々としてしゃべりはじめた。

 

旦那さんの話は長かったので、まとめるとこんな内容である。

 

  • アメリカ発祥の会社。日本の支社は東京にあってでかい。
  • もとは世界中の人々が幸せになることを目的に作られた組織。
  • 商品を購入することでポイントがつき、そのポイントが現金になる。
  • 自分が親となり、紹介者が子となる。親は子の購入金額の半分をポイントとして得ることができる。
  • 子だった人が子を作ることでさらに儲けは拡大する。
  • 我々は消費者ではなく××の営業担当になり、商品の良さを広めるという活動をしているだけ。
  • 花火大会の時おとずれた人は、この夫婦の親となり月収1000万円ある
  • 怪しくない

 

そこまで聞いて私もようやく気付いた。

 

「あ、これマルチ商法か」

 

さて算数のお時間です。

とはいえ、不労所得に興味があったので、私は「今は無理です」と断り、家へ帰って計算をしてみることにした。

 

日本の世帯数は5340万世帯とされており、この世帯数を単位にこの会社がマルチ商法を施行するとしよう。

 

まず、この会社の日本支店に所属する人数が100人だと仮定する。

この100人が親となり、子を勧誘していく。

 

速度としてはだいたい、1年に2世帯取り込んでいくとしよう。

すると、1年でこのマルチ商法に取り込まれた世帯は300世帯となる。(親世帯100+子世帯200)

 

では、この調子で増えていった結果、このマルチ商法が日本全体を飲みこむのに何年かかるか。

 

10年で197万世帯となる。

20年で1千億世帯となり、20年つづけただけで日本の世帯数を超えてしまうのだ。

ちなみに日本の世帯数を超えるのは14年となる。

 

つまり、この商法は日本だけでも14年しか持たないビジネスであることが証明されたわけだ。

 

さらに、この商法の大前提として『購入しなければポイントが付かない』というものがある。

これは購入金額の数%がポイントとなって還元される方式で、そもそも多額の出費がなければ多額のリターンは成り立たないのである。

 

そうするために消耗品をすべてその会社の製品へ乗り換えたとしても、その数値はさほど多くない。

ひと月で10,000円もいけばよい方だろう。


では、家電などの購入はどうか。こういったものは購入が一時的であり、その月のリターンは多くなるがそれ以降はただローンだけが残ってしまう。

 

といかよく考えれば、自分が支払った金額 > リターンする金額なのだからまず儲からない

たとえ、子を多くしようにも上記の計算で14年が限界である。

 

さらに母親に「××って知ってる?」と問いかけたところ「有名なマルチ商法でしょ?私が若いころにもあったわよ」と答えられた。


つまり、20年前には存在していた商法であり、今更はじめたところで未来はないのである。

 

その後の話

結局、私は引っかからず抜け出せたが、つい最近、女性からまた連絡があった。

 

折角なので、とランチを一緒にすると、聞けば旦那さんは仕事をやめFxなどに精をだしているとのこと。

どうやら、あのマルチ商法は儲けが少ないと気付いたようだ。

 

夢の不労所得とはいうが、はたして普通に働くのとどちらが幸せか。私はそう考えているのである。